今年の夏も、とても暑いですね。
日中の暑さはもちろんですが、
夜になっても気温が下がらず、寝苦しい日が続いています。
「冷えたらよくないから。」
「エアコンは身体によくないかもしれないから。」
そう思って、暑さを我慢している妊婦さんもいるかもしれません。
でも最近は、妊娠中の高温曝露と、
早産や低出生体重、死産との関連について、多くの研究が行われています。
妊婦さんは、暑さの影響を受けやすい
妊娠中は、赤ちゃんや胎盤に血液を送るために、循環血液量が増えています。
基礎代謝も上がり、体温も高くなりやすくなります。
つまり、妊娠中の身体は、もともとたくさんの熱を生み出している状態なんです。
そこに高温環境が加わると、
- 脱水
- 睡眠不足
- 血流の変化
- 酸化ストレス
- 炎症反応
- 胎盤機能への影響
などが起こる可能性があると考えられています。
「夜の暑さ」に注目したフランスの研究
フランスで行われた研究では、
5347例の単胎妊娠を対象に、妊娠中の気温と早産との関連が調べられました。
その結果、
- 受精後1〜5週頃
- 受精後20〜26週頃
の夜間高温曝露と、早産リスクとの関連が認められました。
ところが、この研究で「高温」とされた夜間の最低気温は15.7℃でした。
日本の感覚では、むしろ涼しいくらいですよね。
これは、「何℃以上なら危険」という話ではなく、
「その地域にとって普段より暑い環境」が問題になることを
示していると考えられています。
日本でも研究が進んでいます
近年は、日本でも高温と妊娠の関係について研究が進められています。
全国規模のデータを用いた研究では、
高温曝露と早産との関連が報告されています。
つまり、
「海外の話だから、日本には当てはまらない。」
とは言い切れない、ということです。
ただし、
「何℃を超えたら危険なのか。」
「妊娠中のどの時期に最も影響が大きいのか。」
という点については、まだ研究が続けられている段階です。
大切なのは、「冷やさないこと」ではなく、「無理をしないこと」
私が産婦人科医としてお伝えしたいのは、とてもシンプルなことです。
暑いときは、涼しくしてください。
喉が渇く前に、水分をとってください。
そして、夜はしっかり眠ってください。
「妊婦だから我慢しなければいけない。」
そんなことはありません。
汗をかきながら眠ることも、
何度も目が覚めることも、身体にとっては大きな負担です。
「冷やさないこと」だけを意識するのではなく、
「身体が楽でいられること」を大切にしてほしいと思います。
お母さんの身体が楽であること。
それは、お腹の赤ちゃんにとっても、とても大切なことなのです。
おわりに
今回の記事では、妊娠中の暑さと早産リスクについてお話ししました。
もちろん、暑さだけで妊娠や出産のすべてが決まるわけではありません。
でも、近年の研究によって、
私たちを取り巻く環境が、
心や身体に少しずつ影響を与えていることが見えてきました。
そして、それは妊婦さんだけの問題ではありません。
猛暑、豪雨、水害、食料、エネルギー。
私たちの暮らしは、
環境と切り離して考えることができない時代に入っています。
だからこそ、大切なのは、不安になることではなく、知ること。
そして、自分や大切な人を守るために、
何を選ぶのかを考えることなのだと思います。
そんなことを考えていたときに、
私自身がとても楽しみにしている講演会があります。
環境活動家の谷口たかひささんをお招きして、
「気候変動」と「自己肯定感」という、
一見すると遠く離れているように見える二つのテーマについてお話しいただきます。
環境問題は、未来の誰かの話ではありません。
私たち自身の暮らしや、子どもたちの未来、そして「自分を大切にすること」と深くつながっているのだと思います。
興味のある方は、ぜひ一緒に学びましょう。

参考文献https://docs.google.
- Associations between high temperatures in pregnancy and risk of preterm birth, low birth weight, and stillbirths: systematic review and meta-analysis.BMJ 2020;371:m3811
- Early delivery following chronic and acute ambient temperature exposure: a comprehensive survival approach.International Journal of Epidemiology. 2023;52(3):761–773
- Temporal trends in late-pregnancy exposure to ambient temperature and risk of preterm birth in Japan, a nationwide study from 1979 to 2023 Lancet Reg Health West Pac.2026 Jun 4:71:101894.

















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