被災していなくても、心は揺れる

夏の「心」を守る、小さな養生

大きな災害が起きると、被災された方々のことを思い、
胸が締めつけられるような気持ちになることがあります。

繰り返し流れてくる映像や情報を見ているうちに、胸がざわつく。
眠りが浅くなる。涙が出る。イライラする。何もしていないのに疲れる。

直接被災していなくても、心が揺れることはあります。

被災された方に思いを寄せる中で、
離れた場所にいる私たちの心も反応しているのです。

「私までつらくなってはいけない」
「もっと大変な人がいるのに」

そうやって、自分の気持ちを抑えたり、責めたりしなくて大丈夫です。

中医学では、夏は「心」の季節

中医学では、夏は「心」と関係の深い季節と考えられています。

ここでいう「心」は、心臓だけを指すものではありません。
意識や感情、精神状態、眠りなどにも関わるものとして捉えられています。

夏は、暑さや大量の汗によって身体が消耗しやすい季節です。
寝苦しさから睡眠が浅くなり、いつもより疲れが取れにくくなることもあります。

身体が疲れているときは、心も揺れやすくなります。

そこに災害への不安や、絶え間なく入ってくる情報が重なると、
心も身体も、思っている以上に疲れてしまいます。

そんなときに必要なのは、無理に元気になることではありません。

心に入ってくる刺激を少し減らし、身体に小さな安心を戻していくことです。

情報の「熱」を減らす

災害の情報を知ることは大切です。

けれど、情報を見続けることが、必ずしも安心につながるわけではありません。

何度もニュースを更新する。刺激の強い映像を繰り返し見る。
眠る直前まで情報を追い続ける。

その状態が続くと、身体は安全な場所にいても、
緊張を解くことが難しくなります。

情報を見る時間を決める。
信頼できる情報源に絞る。
寝る前は画面から離れる。
通知を一時的に切ってみる。

情報を遮断するのではなく、
自分の心が受け止められる量に整えることも、大切な養生です。

身体の熱を、やさしく冷ます

薬膳では、夏は身体にこもった熱を冷まし、
失われた潤いを補う食材を取り入れます。

トマト、きゅうり、冬瓜、なす、豆腐、スイカなどは、
夏に取り入れやすい食材です。

ただし、暑いからといって冷たい飲み物や食べ物ばかりを取ると、
胃腸が疲れてしまうこともあります。

冷たいものだけで身体を冷やすのではなく、
夏野菜を使ったスープや、温かい汁物、常温の飲み物なども取り入れてみてください。

身体の内側にこもった熱を逃がしながら、胃腸は冷やしすぎない。

このバランスが、夏の養生では大切です。

特別な薬膳料理でなくてもいい

心や身体が疲れているときに、手の込んだ料理を作る必要はありません。

そうめんやうどん。
麦入りのごはん。
豆腐や卵。
夏野菜を入れた汁物。

食べられるものを、食べられる分だけ。

薬膳では、小麦は身体の余分な熱を冷まし、
落ち着かない心を鎮める食材として用いられます。

夏にそうめんや冷麦、うどんを食べたくなるのは、
季節に合った自然な選択ともいえます。

ただし、麺だけでは栄養が偏りやすいため、
卵や豆腐、肉や魚、野菜などを少し添えると、身体の回復を助けてくれます。

心に、小さな安心を戻す

ゆっくり息を吐く。
温かいものを口にする。
誰かと話す。
少しだけ外の空気に触れる。
画面から離れて、身体を休める。

大きく気持ちを切り替えようとしなくて大丈夫です。

今の自分にできる、小さなことを一つずつ。

心が揺れるのは、弱いからではありません。

起きていることに心を寄せ、心と身体が反応しているからです。

ただ、眠れない、食事が取れない、
強い不安が続くなど、日常生活に影響が出ている場合は、
一人で抱え込まず、身近な人や医療機関、相談窓口につながってください。

被災された地域に、少しでも早く穏やかな時間が戻りますように。

そして、それぞれの場所にいる私たちも、
自分の心を守りながら、できることを続けていけますように。

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