不安なときは、何度でも「今ここ」に戻ろう
地震や水害などの災害が起こると、
「お腹の赤ちゃんは大丈夫かな」
「避難したほうがいいのかな」
「病院に連絡するべきかな」
と、次々に不安が浮かんでくると思います。
妊娠中は、ただでさえ自分一人の体ではないと感じる時期です。
自分だけではなく、
赤ちゃんも守らなければと思うほど、
どう行動したらいいのか分からなくなってしまうこともあります。
そんなとき、まず一番にしてほしいのは、妊婦さん自身の安全を守ることです。
妊婦さんが自分の身を守ることは、そのままお腹の赤ちゃんを守ることにつながります。
まずは、安全な場所へ
災害が起きた直後は、体調を確認するよりも、まず身の安全を確保してください。
地震であれば、頭を守り、窓や倒れそうな家具から離れること。
水害や土砂災害の危険がある場合は、避難情報を確認し、
できるだけ早めに安全な場所へ移動すること。
母子健康手帳や診察券を取りに戻ることで
危険が増すような場合は、持ち物よりも避難を優先してください。
すべてを完璧にそろえようとしなくても大丈夫です。
まずは、あなた自身の命を守ってください。
安全が確認できたら、体の変化を確認する
安全な場所へ移動できたら、
少し呼吸を整えながら、自分の体に変化がないかを確認してみましょう。
特に確認してほしいのは、次のような症状です。
・性器からの出血
・破水したような水っぽいものが出る
・強い腹痛
・お腹の張りが続く
・胎動が明らかに少ない
・転倒した、またはお腹を強く打った
このような症状がある場合は、
かかりつけの産婦人科や、避難先にいる医療スタッフへ相談してください。
連絡するときは、
妊娠週数と、いつからどのような症状があるのかを伝えると、状況を判断しやすくなります。
明らかな症状がなくても、
「いつもと何か違う」
「どうしても不安が強い」
と感じるときは、相談して大丈夫です。
災害時だからこそ、遠慮しすぎないことも大切です。
避難先では、妊婦であることを伝える
避難所や一時的な避難先では、
できるだけ早めに、妊娠中であることをスタッフへ伝えてください。
可能であれば、妊娠週数や体調、通院している産婦人科についても伝えておきましょう。
妊婦さんは、冷えや脱水、長時間同じ姿勢で過ごすことによる負担を受けやすい状態です。
水分や食事、トイレを我慢しすぎないようにしてください。
横になれる場所や、少し静かな場所が必要な場合も、助けを求めて大丈夫です。
助けを求めることは、わがままではありません。
自分と赤ちゃんを守るために必要な行動です。
余震が続くと、心も体も緊張したままになる
災害が起きたあとも、余震や警報が続くことがあります。
「また揺れるかもしれない」
「もっと大きな災害が起こるかもしれない」
そう考えると、体に力が入ったままになったり、何度も情報を確認したくなったりします。
小さな音にも驚いたり、眠ろうとしてもなかなか眠れなかったりするかもしれません。
怖くなることや、落ち着かなくなることは、
異常な状況に対する自然な反応です。
「妊婦なのに落ち着かなきゃ」
「不安になると赤ちゃんに悪いかもしれない」
と、自分を責めなくて大丈夫です。
不安を完全になくそうとする必要もありません。
不安が大きくなったときは、意識を少しだけ「今ここ」に戻してみてください。
足の裏や背中の感覚を確かめる
まずは、足の裏が床に触れている感覚を確認してみましょう。
座っている場合は、椅子に触れている背中やお尻の感覚。
横になっている場合は、布団や床に体が支えられている感覚。
「私は今、ここにいる」
そう心の中で言いながら、体が触れている場所をゆっくり感じてみます。
先のことを考え続けている意識を、今の自分の体へ戻していきます。
目の前に見えるものを確認する
次に、今いる場所に見えるものを、一つずつ確認してみてください。
壁、天井、カーテン、照明、毛布、家族の顔。
声に出せそうであれば、
「白い壁が見える」
「カーテンが揺れている」
「家族がそばにいる」
と、見えているものを言葉にしても構いません。
今いる場所が安全であることを、頭だけでなく、体にも教えてあげるイメージです。
無理に大きく吸わず、ゆっくり息を吐く
不安なときは、「深呼吸しなければ」と思うほど、うまく息が吸えなくなることもあります。
無理に大きく吸おうとしなくても大丈夫です。
鼻から自然に息を吸い、口から細く、長く吐いてみてください。
吐く息に合わせて、肩やあごの力も少しだけ緩めていきます。
一回で落ち着かなくても大丈夫です。
一回息を吐けたら、それで十分です。
お腹の赤ちゃんに声をかける
少し余裕が出てきたら、お腹に手を当てて、赤ちゃんに声をかけてみてください。
「びっくりしたね」
「今、一緒にいるよ」
「ひとつずつ過ごしていこうね」
何を言えばいいか分からないときは、ただ「一緒にいるよ」だけでも大丈夫です。
赤ちゃんに向けて話している言葉は、同時にママ自身の心にも届いています。
赤ちゃんを安心させようとする言葉が、自分自身を安心させる言葉にもなっていきます。
すぐに落ち着けなくても大丈夫
災害時に、まったく不安にならずに過ごすことは難しいものです。
大切なのは、不安にならないことではありません。
不安になったときに、何度でも戻ってこられる方法を知っておくことです。
まずは自分の安全を守る。
体の変化を確認する。
必要なときは助けを求める。
そして、不安が大きくなったら、足の裏を感じ、息を吐き、赤ちゃんに声をかける。
すべてを一度にできなくても大丈夫です。
今できることを、一つずつ。
何度でも、「今ここ」に戻ってきましょう。















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