授乳中のお母さんと、
周りの人に知ってほしいこと
災害が起き、いつもの生活が突然失われたとき。
授乳中のお母さんの中には、
「強いストレスで、母乳が出なくなったかもしれない」
「私も十分に食べられていないのに、
母乳をあげて大丈夫?」
「赤ちゃんに必要な量が足りているのかな」
と、不安になる方もいると思います。
ただでさえ落ち着かない状況の中で、
赤ちゃんの命を守らなければならない。
その不安や責任の重さは、
決して小さなものではありません。
まず知っておいてほしいのは、
強いストレスを感じたからといって、
母乳が突然なくなるわけではないということです。
ストレスで、一時的に母乳が出にくく
感じることはある
強い緊張や恐怖を感じると、
母乳が一時的に流れ出にくくなることがあります。
これは、母乳そのものが作られなくなったというより、
緊張によって母乳を押し出す反射が
起こりにくくなっている可能性があります。
ストレスのある状況でも、
適切な心理的・実際的な支援を受けながら
母乳育児を続けることは可能だとされています。
できそうであれば、
赤ちゃんが欲しがるたびに乳房を含ませてみてください。
抱っこをしたり、肌と肌で触れ合ったり、
できるだけ安心できる姿勢で授乳したりすることも、
お母さんと赤ちゃんの緊張をやわらげる助けになります。
母乳の量が心配な場合は、
授乳回数を増やし、
赤ちゃんの吸着や飲み方を
医療者や母乳育児支援者に確認してもらうことが
勧められています。
災害時に母乳育児を続ける意味
母乳には、赤ちゃんの成長に必要な栄養だけでなく、
感染から守る成分も含まれています。
特に災害時は、安全な水やお湯、
清潔な調乳器具を十分に確保できないことがあります。
衛生環境が不安定になり、
下痢などの感染症のリスクが高まりやすい状況では、
そのまま赤ちゃんに与えられる母乳が
大切な栄養源になります。
だからといって、授乳中のお母さんに、
「母乳を出さなければ」
「赤ちゃんのために頑張らなければ」
と、さらに責任を背負わせたいわけではありません。
母乳育児を続けるために必要なのは、
お母さんの努力だけではなく、
周りからの具体的な支えです。
赤ちゃんを支えるために、
まずお母さんを支える
避難所や慣れない場所では、
お母さん自身が食事や水分を後回しにして
しまうことがあります。
周りの人にできることは、
お母さんにも食べ物と飲み物を届けること。
少しでも横になれる時間をつくること。
人目を気にせず授乳できる場所を確保すること。
赤ちゃんを抱っこしたり、
上の子のお世話を代わったりすること。
必要なときに助産師や医療者へ相談できるようにすること。
「母乳を頑張って」と励ますだけでは、
支援にはなりません。
お母さんが食べ、飲み、休み、
安心して赤ちゃんを抱ける環境をつくること。
それが、母乳育児を支え、
赤ちゃんを守ることにつながります。
母乳が足りているか心配なとき
母乳が出ている感覚だけでは、
赤ちゃんが実際にどのくらい飲めているのか
分かりにくいことがあります。
母乳が足りているか心配なときは、
- 尿がいつものように出ているか
- 赤ちゃんに元気があるか
- 肌の色やつやはいつもと変わらないか
- 乳房を含み、飲み込めているか
など、赤ちゃん全体の様子を確認します。
尿が明らかに少ない、
うまく飲めない、
ぐったりしている、
口の中が乾いているなど、
脱水や体調不良が疑われる場合は、
授乳方法にかかわらず、早めに医療者へ相談してください。
母乳だけが正解という話ではありません
母乳育児をしていない方もいます。
混合栄養の赤ちゃん、人工乳が必要な赤ちゃん、
持病や治療などによって母乳を与えられない
お母さんもいます。
その場合には、
必要な人工乳が継続して確保され、
安全に与えられるよう支えることが重要です。
粉ミルクを使用するときは
衛生的な水や清潔な器具が必要になります。
十分な消毒が難しい場合には、
使い捨ての紙コップなどを利用する方法も
厚生労働省から案内されています。
災害時に大切なのは、
授乳方法を一律に決めつけることではありません。
それぞれのお母さんと赤ちゃんが、
それまでどのように授乳してきたのか。
今、どのような支援を必要としているのか。
一組ずつ確認しながら、
安心して授乳を続けられる方法を
一緒に考えることが必要です。
赤ちゃんを守ることは、
まず、お母さんを支えることから。
不安定な状況の中でも、
お母さんと赤ちゃんが少しでも安心して過ごせますように。
*参考:
https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/infant-and-young-child-feeding?utm_source
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/hoken-sidou/disaster.html?















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