花を生ける時間は、心を整える時間。

先日、なないろサロンで生け花を習ってきました。

先生は、サロンのオーナーのお母様、志保子さん。

今回は、それぞれ違う花材を使って、思い思いに花を生けていきました。

花の向き、葉の広がり、枝の流れ。

そして、花や枝の間に生まれる空間。

どこに何を配置すると、それぞれの美しさが生きるのだろう。

そんなことを考えながら、花と向き合う時間は、想像以上に心地よいものでした。

花や葉、枝の声を聞くように

花を生けている間、わたしは不思議な感覚を味わいました。

この枝は、どちらに伸びたいのだろう。

この葉は、どんなふうに広がりたいのだろう。

この花が一番美しく見えるのは、どこだろう。

まるで、花や葉、枝の声を聞いているような感覚です。

自分の思い通りに形をつくるのではなく、

植物がもともと持っている姿をよく観察し、その美しさを生かしていく。

そんなふうに花と向き合っていると、

いつの間にか、仕事のことも、家のことも、

これからの予定も、頭から消えていました。

何も考えていなかったわけではありません。

むしろ、目の前の花や枝、そして空間について、ずっと考えていました。

でも、心はとても穏やかでした。

目の前のことに意識を向けることで、こんなにも心が静かになるのか。

それは、わたしにとって新鮮な発見でした。

生け花とマインドフルネス

今回の体験は、瞑想をしているときの感覚によく似ていました。

マインドフルネスとは、
今この瞬間に意識を向け、
浮かんでくる思考や感覚を、良い悪いと判断せずに受け止めることです。

瞑想というと、静かに座って目を閉じるイメージがあるかもしれません。

しかし、目の前のものを丁寧に観察したり、
身体の感覚に意識を向けたりすることも、マインドフルネスの実践につながります。

今回の生け花では、
花や葉、枝の姿を観察し、手を動かしながら、
自然と「今ここ」に意識が向いていました。

頭の中を空っぽにしようと頑張る必要はありません。

目の前のことに丁寧に向き合うことが、心を整える時間になる。

そんなことを実感しました。

日本の伝統文化に息づく、心を整える知恵

生け花を終えたあと、ふと思いました。

昔の人たちが嗜んでいた
茶道や華道には、心を整えるという意味もあったのではないでしょうか。

お茶を点てる。

花を生ける。

一つひとつの所作を大切にし、目の前のものと丁寧に向き合う。

そこには、現代のマインドフルネスにも通じる要素があるように感じます。

また、生け花では、花や枝だけでなく、その間にある空間も大切にします。

何もないところにも、美しさがある。

すべてを埋め尽くさなくてもいい。

そんな日本文化の美意識にも、
心を豊かにするヒントが隠れているように思いました。

一人ひとりの違いを楽しむ

そして、もう一つ印象的だったのが、完成した作品です。

同じ先生に教わり、同じ時間を過ごしていても、
できあがった作品は一人ひとり違います。

大胆なもの、繊細なもの、伸びやかなもの。

どれも個性があって、それぞれに魅力がありました。

誰かと比べて、どちらが優れているということではありません。

それぞれの花材の特徴を生かした、それぞれの美しさがありました。

人も同じなのかもしれません。

一人ひとり違うからこそ、面白い。

そんなことも感じた時間でした。


日常の中に、心を整える時間を

わたしたちは日々、たくさんの情報や予定に囲まれて生活しています。

仕事や家事、子育てなど、やるべきことに追われ、
気づけば頭の中がいっぱいになっていることもあります。

だからこそ、意識して「今ここ」に戻る時間を持つことが大切なのだと思います。

それは、必ずしも特別なことをする必要はありません。

花を生けること。

お茶を淹れること。

料理をすること。

自然の中を歩くこと。

日常の何気ない行動も、
目の前のことに意識を向けることで、
心を整える時間に変わるかもしれません。

わたし自身、産婦人科医として、
妊娠・出産・子育てに関わる中で、心と身体のつながりを大切にしています。

忙しい毎日の中でも、自分の心や身体の声に耳を傾ける時間を持つこと。

それは、自分自身を大切にすることにもつながると考えています。

今回の生け花は、そんな大切なことを改めて感じさせてくれる体験でした。

花を生けていたつもりが、いつの間にか、自分の心も整えていた。

これからも、日常の中にある小さな豊かさを、大切にしていきたいと思います。

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